自立と依存のスパイラル1
今日の話は私が声と話し方の仕事をしながらも不安で虚しくてたまらなかった時の事です。
自分の不安や思い込みがどれだけ自分を追い込んでいくのか、思い出してみました。
「こんな人が偉そうに教えているのか!」と思われるかもしれません。
それも当然だと思います。
結構、覚悟して書いています。
私は声と話し方のレッスンや研修をしていますが、元々は音楽家です。
専門が歌で、作曲、ピアノもやっています。
フリーで演奏活動をしながら芸能プロダクションでボイストレーナーとして歌手や俳優、声優、モデル志望の方たちに声のアドバイスをしてきました。
そこから少しずつビジネスパーソン向けのボイストレーニングを依頼されるようになり、声を通じてご自身の変化を感じていただきたいと思い、Voice Make Proを立ち上げました。
声が変わり、言葉遣い、話し方が変わってくると皆さん表情がパッと明るくなります。
その瞬間が私は1番嬉しい時です。
そして皆さん、少なからず仕事や人間関係、体の調子が良くなっていきます。
私は大真面目にご受講生と向き合いますが、堅苦しいことはできません。
できるだけ「⚫︎⚫︎でなければいけない」は排除します。
何か型があるわけではないし、理由なくやらなくてならないのは苦痛だからです。
しかしながら、それぞれの業種には暗黙の約束があります。
例えば俳優さんは大部屋の楽屋なら新人ほど入り口近くに場所をとります。ベテランは奥。新人が奥にいれば違和感があり、「非常識な人」と見られます。誰かに教えてもらったり、自分で気づかない限りそのレッテルは貼りついたままになります。
私は会社勤めをしたことがありません。
会社とはどういう所で、どういうものなのかよく知りません。人から話を聞くだけです。
「会社ならコレは当たり前」というものを知らずに一部の話だけ聞いています。
なので、「ビジネス」という言葉、概念に憧れ、相手の顔も見えないまま必要以上に怖がってきました。
ビジネスの実態がわからないまま「ビジネスとはこういうものだ」という思い込みが先走っていました。
男性がスーツを着て難しい顔をしているだけで私の底の浅さを見透かされ、「あなたはビジネスになっていない」と無言で怒られ拒否されているように感じました。
女性なら物腰が柔らかな人ほどピシャッと門扉を閉じられるように感じました。
これらは全て私の勝手な思い込みです。
皆さん精悍な顔つきの男性だったり、誠実に断ってくれた女性でした。
「声を通じてご自身の変化を感じていただきたい」なんて偉そうなことを言ってきましたが、この頃の私は相手を見るよりも自分には何ができるのか知りたかったのです。
その結果、それっぽい事を言う誰かの言葉を借りて、自分の言葉にし直す事もせず、空虚に喋り続けていました。
自分の言葉ではないのでよくつっかえるし、次に何を話しするのか忘れます。そして話し終わった後の虚しさ。
ご受講生の方たちがそれでも目を輝かせてこちらを向いてくださるのが申し訳なくて辛く感じる事もありました。
これではいけないと、真剣に考えました。
表向きは上手くいっているように見えたかもしれませんが、浮草のようで不安でした。
自分の言葉で話しをしない限り伝わらない。
相手も動いてくれない。
これまで話してきた内容を文字におこして全て自分の言葉に精査しました。
いや、当たり前の事ですが、これには大変時間がかかりました。
これまでいかに自分が何かにすがり、依存してきたかわかりました。
改めて自分の言葉で話しをすると、これまで以上にご受講生の方たちの表情が明るく変化しました。自分の言葉で話しをすることに手ごたえとやりがいを感じました。
だいぶ長くなってしまったので、続きは次回に。
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